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頻発する盗撮の状況

弊所がご相談や弁護のご依頼をいただく盗撮事件、ニュース等で取り上げられる盗撮事件において、よく見られる盗撮の状況を紹介します。似た状況で盗撮を行い、警察に逮捕・検挙されてしまった方やそのご家族の方は、お一人で悩みを抱えず、盗撮事件が専門であるアトム法律事務所の弁護士にご相談下さい。

駅での盗撮

駅での盗撮事件の事例

駅で見かけた女子高生にストーカー行為 26歳男逮捕「盗撮しようと…」

駅で見かけた女子高生に何度もつきまとったとして、警視庁ストーカー・DV対処チームは、ストーカー規制法違反容疑で、千葉市緑区おゆみ野、会社員甲容疑者(26)を現行犯逮捕した。同チームによると、容疑を認め、「通勤途中で見かけ、きれいな子だと思った」と供述している。
甲容疑者は「盗撮するためについていった」と供述し、デジタルカメラも所持していたことから、同チームは東京都迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いもあるとみてカメラ画像の分析を進めている。
逮捕容疑は14〜22日朝、東京都江東区内の駅のホームで、通学途中の都内の高校2年の女子生徒(16)を待ち伏せし、後ろからつけるなどのつきまといを6回繰り返したとしている。
20日に女子生徒の相談を受け、同チームの捜査員らが22日朝に駅ホームで待機し、大山容疑者のつきまとい行為を確認して現行犯逮捕。女子生徒が告訴した。
(msn産経ニュース 2014年1月24日)

ハルカス近くの天王寺駅で市職員が盗撮 女子大生の後ろからスカートにスマホ、現行犯逮捕 役所に戻る途中

大阪府警天王寺署は28日、スカートの中を盗撮したとして、府迷惑防止条例違反の疑いで、同府和泉市建築・開発指導室の主事、乙容疑者(31)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、午後3時15分ごろ、大阪市阿倍野区の市営地下鉄天王寺駅の上りエスカレーターで、20代の女子大学生の後ろからスマートフォンをスカートの下に差し入れ、盗撮した疑い。
同署によると、パトロール中の鉄道警察隊隊員が目撃、逮捕した。和泉市によると、乙容疑者は大阪市内の講習会に参加し、和泉市役所に戻る途中だったという。
(msn産経ニュース 2014年1月28日)

駅構内で女性のスカート内を撮影した疑い、西鉄社員逮捕

西日本鉄道の駅構内で女性のスカートの中を盗撮したとして、福岡県警は7日、 西鉄社員の丙容疑者(24)を県迷惑行為防止条例違反(ひわいな行為の禁止)容疑で現行犯逮捕し、発表した。
久留米署によると、秋吉容疑者は7日午前7時半ごろ、久留米市花畑1丁目の西鉄花畑駅構内にある上りエスカレーターで、女性(22)のスカートの中にスマートフォンを差し入れて動画を撮影した疑いがある。
西鉄によると、丙容疑者は鉄道の保線などをする子会社に2009年から出向中で、この日は出勤日だった。
(朝日新聞 2014年1月7日)

元教諭、女子高生を600枚も盗撮

丁容疑者は校内で盗撮した教え子のスカートの中の画像をパソコンなどに大量に保存したとして、10月に懲戒免職になっていた。
発表では、丁容疑者は7月10日、同校付近の路上で、教え子だった公立高校2年の女子生徒(17)のスカートの中をデジタルカメラで撮影した疑い。
府警は学校側から、丁容疑者が盗撮画像を約600枚保存したパソコンなどの任意提出を受けて分析。女子生徒の被害が裏付けられたため逮捕に踏み切った。
丁容疑者は2008年に京都市教委に採用され、同校で理科を担当。今年4月から学校のホームページ作成を担当し、授業風景の撮影をするなかで盗撮を繰り返していた。
(読売新聞 2014年11月26日)

駅での盗撮の違法性

駅での盗撮は、各県が定める迷惑防止条例に違反します。
ここでは、東京都迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に基づいて、ご説明します。

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
二 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

上記にいう「公共の場所」とは、道路、公園、広場、、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。)をいい、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物をいいます。
駅における盗撮でもっとも多いのは、女性のスカートの中にスマートフォン等を差入れて下着等の撮影をするというものですが、見知らぬ男性に、自分の極めてプライベートな部分を密かに撮影されるということは、これを知った女性を極めて強く羞恥させ、不安を覚えさせる行為といえます。

駅での盗撮事件の裁判例

東京高裁平成21年(う)第833号

【事案の概要】
被告人が、都内の駅構内エスカレーター上において、スカート内を盗撮する目的で、女性の後方から同女のスカートにカメラ機能付携帯電話機を差し入れたとして、迷惑防止条例違反について有罪を言い渡されたので控訴したという事案
【判決】
破棄自判、無罪
【理由の要旨】
被害女性の供述から被告人が盗撮目的で携帯電話機を同人のスカートに差し入れたと推認するには疑問が残り、被告人の捜査段階の自白についてはいずれも疑問がある。被告人が犯罪である証明はないため、無罪。

盗撮事件が駅で頻発する背景

駅は、最も頻繁に盗撮事件が生じている場所です。警察庁が平成25年に公表した警察白書によると平成24年の盗撮の摘発件数は2,408件で、そのうち駅構内での盗撮(階段・エスカレーター、ホーム、その他の合計)は781件に上ります(全体の32.4%)。その数字はショッピングモール等の691件を上回っており、盗撮事件が生じる場所の第一位となっています。
駅で盗撮事件が起こりやすいのは、どうしてでしょうか。それは、駅が、(1)盗撮の加害者・被害者となり得る人が多い、(2)盗撮の機会が生じやすい、(3)盗撮の手段となる道具を用いやすい、(4)盗撮をしていることが気付かれにくい場所だからだと考えられます。

(1) 駅は盗撮の加害者・被害者となり得る人が集まる場所

当然のことのようですが、盗撮事件が生じるのは、盗撮を行う男性と盗撮の対象となる女性がいる場所です。男性と女性がいない場所では盗撮事件は起きません。逆に、盗撮の潜在的な加害者となる男性と被害者となる女性が多く集まる場所では、人の少ない場所よりも相対的に盗撮事件が生じやすくなります。
日本は世界に例を見ない電車社会で、駅の利用者数が非常に多いです。とりわけ、朝の通勤・通学ピークの時間帯は、駅のホームや階段・エスカレーターに男女が密集します。これが駅で盗撮事件が頻発することの前提です。

(2) 駅は盗撮の機会が生じやすい場所

平成23年の警察庁の発表によると平成22年の盗撮の摘発件数は1,741件で、そのうちの98%に当たる1,702件が「下着などの盗撮」でした。平成25年の警察白書には盗撮された部位に関する統計は掲載されていませんが、下着など、スカートの下から密かに撮影がされているケースが多いと考えられます。
都市の駅では、ホームから改札、改札から出入り口などを長い階段やエスカレーターで結んでいることが多く、駅は盗撮事件の大半を占める「下着の盗撮」を行う機会が生じやすい場所となっています。駅の盗撮のうち86.4%に当たる675件は階段とエスカレーターで起きており、盗撮の機会を男性に与えてしまう駅の構造が、駅で盗撮事件が頻発していることと関係があることがうかがえます。

(3) 駅は盗撮の手段となる道具を用いやすい場所

駅では、ホームで電車を待ったり、エスカレーターでホームや改札に上ったり、静止する時間があります。この時間でスマホや携帯電話を見るという行動をとるのが一般化しており、携帯電話を操作している男性がいても、それは駅構内の自然な風景です。スマホが普及するにつれ、画像や文字を見やすくなったためか、静止しているときのみならず動いているときでもスマホを操作する人が増え、階段で操作している男性がいても、不自然だと思われなくなってきました。
盗撮の手段となるカメラの機能が付いたスマホや携帯電話を用いていてもあやしく思われないため、用いやすいということが、駅で盗撮事件が起きやすい理由の一つとなっています。

(4) 駅は盗撮をしていることが気付かれにくい場所

前述の通り、駅で男性がスマホを見ることは一般化しています。そのため、女性は、付近の男性がスマホを見たり操作したりしていても、自分が盗撮されているとは気付きにくいと考えられます。また、人が多すぎる環境では周囲の人に無関心になる傾向があり、通勤・通学の慌ただしい時間帯だとますます周囲の人の動きに気付きにくい状況となります。
それゆえ、人で溢れる駅構内では、男性が「盗撮をしても気付かれないのではないか」と思い、盗撮が生じやすくなっていると考えられます。
犯罪学上、「自分の行動が他人に見られているかもしれない」と感じさせることは、人を犯罪から遠ざける、抑止のための有力な方策とされています。しかし、人が溢れる駅は、被害者や周囲の人が相互に無関心で、盗撮に気付きにくい環境であるため、この抑止の力が働きにくいのです。これも盗撮が駅で頻発する一つの理由です。

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